著:浅野いにお 出版:小学館
『ソラニン』映画化が話題の漫画家浅野いにお
彼の『世界の終わりと夜明け前』という短編集の中に
自身の作品を適切に表した言葉があった。
それは『東京』という話の中で主人公の漫画家が
編集者にインタビューされる場面
「編集者:浅く感傷的すぎると批判されることがありますが、その一方で閉塞感の続くこの時代において、若者から熱狂的に支持されています。時代に共感されることについて、ご自身はどうお考えですか?」
「漫画家:よくわからないです。僕は単純にいいものを作ろうと思って描いてるだけですから。ただ、ひとつ言えるのは、自分には決定的な何かが欠けていて、描けども描けども、きっと満たされることはないんだろうなって思うんです。」
決定的な何かが欠けていて、きっと満たされることがない世界が
浅野いにおの世界なのだろう・・・。
そんな世界を描いた『ソラニン』を映画化すれば
浅く感傷的すぎる青春群像劇になるだけ?
逆説的ですが、
青春とはまた浅くて、感傷的で、
決定的に何かが欠けたものなのかもしれません。
時代に共感される作品を映画化する業界よりも
自身の作品を客観的に見れる作家って強いですね。